− アンジェの正体 − |
ビーンズ王国へ行くと騒いだが、ターミーに説得され大人しくなったカオリ。あまり腑に落ちないまま皆を送り出した後、部屋でぼんやりと座っていた。
「これで良かったのかしら…パパとママに会いたい。」
部屋のドアをノックする音がした
「カオリ様、お茶をお持ちしましたよ。」
トンの声だ。気持ちを落ちちつかせるようターミーが気を効かせ、トンに運ばせたのだ。
「モーリー特製のクッキーもありますよ。」
トンはニッコリ笑いながら言った。
「私、このクッキー大好きよ。トンも一緒に食べない?」
「いいですね〜それでは…」
「何してるんだ、速く用意しないとジョンが帰ってくるよ。」
ゴンがトンを探しに来た。
「トン、ありがとう。仕事に戻って。」
少し膨れ面で
「カオリ様、また後で一緒にお茶をしましょうね。」
「勿論よ。」
トンは渋々戻って行った。カオリは座って、クッキーを口に入れた。
「おいしい〜モーリーのクッキーは最高だわ!」
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すると窓の外の木がカサカサ動いている。じっと見ていると、フワリと白い物か見えた。カップを左手に持ち、右手にクッキーを持ち窓へ近づいてじっと見ていた。次のクッキーを口に入れたその時、
「耳…ウサギ、大きいウサギ。見たことあるような…えっ、あの白い猫は…
あ〜アンジェ?」 |
急いで外へ出た。
「話し声がする、何を話しているのかしら。」
気付かれないようにそっと近づき話をきいてみた。
「ちょっと、迷ったじゃない、城の者に見つかったらどうするのよ!」
「うるさいなアニー。こっちへ行けば出る…はずだ。」
「ジャック、早くあの子達を追い掛けないと見失うわよ!ピョン王に連絡はしたの?」
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「ああ、ピョン王には報告済みだ。すぐに追いつくさ、足には自信があるんだ。後を着けて様子を探るように言われている。」
「この二匹は何を言ってるのかしら。いつかみた夢にでた…あれは、本当にアンジェじゃなかったのね。しかも話すことが出来るのね。」
カオリはあの変な夢を思い出した。“私達”とは大きなウサギも入っているようだ。
「何者かしら…ピョン王?がビーンズ王国を支配してるのかしら。つまり、ピョン王の手下で見張り役?とにかく放っておけないわよね。話せるということは、こっちの話を全部盗み聞きしてたのかしたら。」
ウサギと猫の姿は消えた。ジャックとアニーの事を伝えなくては。もうすぐジョンが戻って来るはず。急いで中へ戻った。
城が騒がしくなってきた。ジョンが帰って来たらしい。
「ターミー様、ジョンが帰ってきました。」
ゴンが叫んだ。
「ターミー様、皆はもう出発したみたいですね。」
「そうなんだ、ジョン。用意は出来ておる。休んでから、皆を追い掛けてくれ。このような旅は慣れていない、すぐに追いつくはずじゃ。」
「ターミーおじさん、ジョンに話があるの。」
「カオリ、どうしたんじゃ。」
城の中に迷い込んでいた、ジャックとアニーの事を話した。
「ピョン王の手下だと?ここを出発してビーンズ王国へ向かったのもわかっているのか…ジョン、明日の早朝に出発してはくれないか。」
「私もその方がいいと思います。ターミー様。」
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